2025年12月10日水曜日

今回のスタグフレーション大恐慌において日本政府はどのようにふるまうべきかということについて

 

今回のスタグフレーション大恐慌において日本政府はどのように振る舞うべきかということについて

 

今回のスタグフレーション大恐慌期において、どのように日本政府が振る舞うべきかということについてちょっと考えてみたのでメモしておく。

 1929年から始まる世界大恐慌は大農業恐慌という面を持ち合わせていた。大恐慌の中心となったアメリカでは農産物の生産量が約3割縮小し、農産物の価格は65%くらい暴落した。アメリカ政府は農産物の価格の維持をやっきになってしたが、全く価格を維持できなかった。そのことにより多数の農民が破産したり、小作人が解雇され流浪の民となり社会不安が高まった。またアメリカの農産物の生産量が3割縮小したことにより、農産物の価格は暴落したにもかかわらずアメリカでは飢える人が多数出た。

なぜアメリカで農業恐慌がこれほどまでに激しくなっていたのかというと、私見では1910年代からアメリカで普及し始めたトラクターなどの農業機械がアメリカの農業の生産性を飛躍的に高めたことにより、農産物の国際競争が激化し、農家同士でつぶしあいの価格競争が行われたことが一因となっていたと思っている。

 大恐慌期、日本でも米の価格は二分の一まで暴落し、農家では口減らしのために「娘の身売り」が広範に行われた。

 今始まっているスタグフレーション大恐慌においては、農業分野でそれほど熾烈な国際的価格競争が起こっているわけではないので多分大農業恐慌は起こらないと思うが、それでも大恐慌期において農家の破産が続出するような事態は絶対避けなければいけないため、今後他の金利の高騰する場面においても、農家が借金して買っているトラクターやトラックなどの農業機械に対する金利は引き続き低利にしておいて、スタグフレーション大恐慌が終わるまでは農家が破産することをできるかぎり回避させようとすることが望まれる。

 また農家への融資を低利にすることは、日本の食糧自給率をアップさせることにつながり、日本の食料輸入額を減らすことになり、それにより世界的地産地消が進む中で、今後日本の海外への工業製品の輸出量が減っていっても貿易赤字を拡大させないことにつながることなのでその面から見ても望ましいことである。

 また日本の食糧自給率をアップさせることは日本の実物収益資産の評価額をアップさせることと同義であるため、日本のスタグフレーションの克服について寄与することにつながると思われる。

 

 また1929年から始まる世界大恐慌ではアメリカの製造業は大企業の正社員の賃金を下げない代わりに、生産量を8割近く下げた。そのことにより町には失業者をあふれ、社会不安を高まった。またアメリカの大企業は雇用をパートタイマーなどに置き換えることによりアメリカ製造業の賃金の支払総額は1929年に比べて1932年は二分の一以下になった。

 1929年の大恐慌においてはトラクターの普及により農業大恐慌が発生したように、今回のスタグフレーション大恐慌においてはAIの普及により全産業分野におけるホワイトカラーの大規模なリストラが行われる可能性が極めて高い。理論的にはホワイトカラーの正社員たちにとってはワークシェアリングを行うことが最良であるが、基本的にホワイトカラーの正社員は「今だけ、金だけ、自分だけ」をモットーとして言う人が大半であるためそれはできないであろうし、日本経済においてもブルーカラーの人手不足を解消するためにホワイトカラーからブルーカラーへの職種転換を進めることは好ましい。またホワイトカラーのリストラを進めることは社会の格差解消にもなるため社会維持の観点から見ても好ましい。

 また日本の支配層のエタチョンに近いホワイトカラーがリストラされ、エタチョンの庇護下から離脱することはスタグフレーション大恐慌の克服の正攻法である法人税世界一律50%や工場の深夜操業の世界一律禁止、年齢階層性の世界一律導入などがより広範な支持を得られるようにさせることにつながることが予想されるため、基本的には今回のスタグフレーション大恐慌においてホワイトカラーに対する救済策は一切不要だと思われる。 

            完