2026年10月27日火曜日

スタグフレーション時代の企業経営および国家運営のポイントについて

 

スタグフレーション時代の企業経営および国家運営のポイントについて

 デフレ時代とスタグフレーション時代の経営戦略および国家運営のちがいについてちょっと考えてみたのでメモしておく。

 デフレ時代とはマクロ経済学的に見れば各国の金利が低く金融緩和していて、各国がともかく国際競争に勝とうと法人税の切り下げ競争、労働分配率の切り下げ競争、株主資本配当率の切り上げ競争を躍起になってしていた時代であった。

 銀行預金はほとんど0金利なので金持ちたちはこぞってもっと利回りのいい株式投資をした。株式投資にはそれなりにリスクがあるのではないかと思う人もいるかもしれないが、デフレ時代は金融緩和していたので金融緩和の金の流入先のITや医療、製薬会社や派遣会社や金融機関等の金融緩和産業に投資していれば90%以上の確率で一般庶民でも儲かったのでほとんどリスクはなかった。(上級国民は金融緩和で特定のどの会社に金が流入するか分かっていたので100%の確率で儲かり、リスクは0だった。)

 デフレ時代は自由競争至上主義がはびこり、資本家、金持ちから見てともかく便利で無駄のない社会を作ることが各国の国家目的となっていた。(労働者、貧乏人側の視点に立って言えば、ハードワーク以外の仕事がなく病的にゆとりのない社会を作り、労働者を不幸にすることが国家目的になっていたともいえる。)

 そのため労働者のミクロ的な経済的人生目標は、ともかく要領よく短期間で金を稼ぎ、さっさと引退して余暇を楽しむこととなっていた。

 以上のマクロ的要因からデフレ時代の会社の経営戦略はトップダウンでリストラして人件費等の経費を削り、ともかく利益を一円でも多く出し、その金を政治家に献金して政商となり金融緩和産業に参入したり、その金で大規模設備投資をして金で金を稼ぎながら労働者を使い捨てにすることがポイントとなっていた。

 会社の資金を銀行からの融資に頼る場合は、さすがに反社会的なので銀行は融資条件としてその会社がきちんと労働者を使い捨てにして労働者の回転率を高め、労働者の賃金を低く抑える企業なのかチェックするために、会社内での派遣社員比率や入社後3年以内に辞める離職率の提出を表立って会社側に求めることはできなかったが、裏ではなるべく労働者を使い捨てにすることが会社への融資条件の一つであったと思われる。

 ただデフレ時代は金融緩和産業の会社の経営は比較的に楽だったため、上記のようなことは基本的にエッセンシャルワークなどで起こった。

 以上の点を踏まえたうえで、これから起こるスタグフレーションの会社の経営戦略について考えてみようと思う。

 スタグフレーション時代とはマクロ経済学的に見れば高インフレで、その高インフレを抑え込むために金融引き締めをしているために高金利であってみんなが節約志向の不況時代である。これから起こるスタグフレーション時代にはデフレ時代とは逆に、各国が金融緩和して膨れ上がった財政赤字の再建のため、及び金融引き締めによる不況を少しでも和らげるため国際的な談合による法人税の引き上げと軍縮が行われると予想される。そしてまたこの国際的な談合が自由競争至上主義を否定し、地産地消が推進する。

 金融緩和が終わり金融引き締めになるため、デフレ時代は手堅く儲けられたITや医療、金融機関などの金融緩和産業への資金流入はなくなり、財政再建のため公務員の給料も下がる。株式投資は昔のようにリスクの高いギャンブルになり、また銀行の預金金利も高くなるため金持ちはマネーを株式市場から抜いて、リクスを犯さず銀行に定期預金して金利収入で生活するようになる。金持ちが株式投資をしなくなるため株式資本主義は終わり、世の中は銀行による間接金融が主体に変わり公益資本主義的になる。

 世の中の雰囲気も、ともかくお金を短期的に効率よく稼ぎ贅沢しようというデフレ的な雰囲気から、手堅く8割くらいの力でコンスタントに長期にわたって生活のための金を稼ぎながら、ゆっくりと人生を楽しもうという雰囲気に変わる。

 スタグフレーション時代は不況で個々の会社の利益率が低くなるので大金を稼ぐのは極めて難しくなるし、どうせ貯金してもインフレでお金の価値は目減りするので、庶民は残業の少ない仕事を欲しがるようになり、余った時間で自分の体を長く働けるように散歩や体操などをして健康的に保とうとするようになる。

 また経済学的に言うと、スタグフレーション時代は会社は手持ちマネーの最大化競争から所有する実物収益資産の評価額最大化競争をするように変わるため、企業としてもなるべく熟練労働者に長く働いてもらうことが実物収益資産の評価額最大化に資することとなる。そのため、会社側も労働者の健康に気を遣い、なるべく残業の少ない仕事をつくろうとする。

 またどの企業も実物収益資産評価額最大化競争に勝とうとするために各社とも熟練労働者を必要とするような付加価値の高い堅い商売をしようとするため、熟練労働者の高賃金化が起こり、マクロ経済的に見れば株主資本主義も終わっているため労働分配率の切り上げ競争、株主資本配当率の切り下げ競争が起こる。

 以上のことから実物収益資産評価額最大化競争に勝つために企業経営のポイントは長期的視点に立って熟練労働者を育成するために技術やノウハウを労働者同士で教えある現場を作ることが最大のポイントとなる。また不況下でも売れるような魅力的な商品開発をするためにもスタグフレーション時代は現場は成功達成欲求に満ちた和気藹々としたものであることが求められる。なぜならデフレ時代はトップダウンで大規模設備投資などをして金で金を稼ごうとすることが主流であったがスタグフレーション時代はボトムアップで熟練工の技術を使ってともかく他社より品質のいい魅力的な商品を適正な値段で売ることにより技術、ノウハウで金を稼ごうとすることが主流となるからである。

 また企業が銀行から融資を受ける際には、その企業が単純頭脳労働や単純肉体労働で儲けているか熟練労働力で儲けているかを見極める指標として企業内の派遣社員比率や入社後3年以内の離職率や労働分配率の数字の提出を求められるようになる。銀行としてはその方がスタグフレーション時代になってもまだデフレ型経営にしがみついている無能な経営者とうまく縁を切れる口実になるし、パワハラやセクハラの撲滅を求める社会正義的立場から見てもそのような数字を求めることは世論受けしやすいのでおそらく99%の確率でそうなるであろう。またスタグフレーション時代はデフレ時代よりも銀行にとってもシビアな経営を強いられるため派遣社員比率や入社後3年以内の離職率の高い企業には高い金利で融資することになるのは致し方ないことであろう。

 また金融引き締めが起こるためITや医療などの金融緩和産業が衰退することは自明の理となるため銀行からの融資が受けにくくなり、融資されたとしても高金利になる。かわりにエッセンシャルワークなどの利益率は低いけれども社会に必要とされる倒産しにくい企業は銀行からの融資が低金利となりやすくなる。

 また1970年代にスタグフレーションでは日本は徹底的に自動車、家電等の省エネを進めることによりいち早く世界的スタグフレーションから抜け出したように、今回のスタグフレーション大恐慌ではその緩和策としてシェアエコノミー、地域贈与経済圏を静脈経済として作れた国が国際競争力を持つと思われるので、シェアエコノミー、贈与経済システムを一刻も早く作ることが国家経営のポイントとなる。

 シェアエコノミーとはどういうものかというと、今は各家ばらばらに行われている各家の玄関前に「ご自由にお持ちください」というカードの脇にその家にとってはもう不要品だけれど、まだまだ使え欲しがる人がいそうな中古品をおいて通りすがりの他人にあげることを自治体や町内会が主体となって広報し、もっと大々的にすることを本質とする。どういうことかというとリサイクル経済を普及させる上で一番問題になるのはリサイクル品の運搬費の問題なのだが、自治体や町内会が主体となって特定の日にその地区のみんなが玄関先に不要な中古品を置き、贈与させあうようにすることにより、半径200メートル以内の贈与経済圏を無数に作ることによりリサイクル品の運搬費を0にすることでリサイクル経済をより普及させることにより、スタグフレーションを緩和させることを本質とする。

 どうしてシェアエコノミー、リサイクル経済圏を作ることがスタグフレーションを緩和させるかというと、リサイクル経済を普及させることによりみんなが生活費を抑えて生活しやすくさせるという直接的なものもあるが、基本的には地域贈与経済圏をつくることにより、その地域を和やかにさせ治安を良くすることが不動産の担保価値を相対的に高めることにつながり、それによってその地域の経済を活性化させることにつながるからである。

 もう株式市場の大暴落と不動産市場の暴落は目前に迫ってきているが、そのとき国際的にいち早く不動産の価格を相対的に高値にさせることができた国が今回のスタグフレーション大恐慌の勝者となるものと思われる。

 ミクロ的に考えても例えばある地域の個人がその地域に30年間住んで30万円分の贈与を玄関先で通りすがりの他人にしたとしても、その地域がその30年の間により治安が良くなり30年後不動産評価額が100万円値上がりするとしたら、その個人は与えたことに間接的により豊かになったということになる。それをシェアエコノミーといい、今回のスタグフレーション緩和策、解決策のエッセンスとなる思想になるものと思われる。

 だいたい以上のことがスタグフレーション時代の企業経営と国家運営のポイントとなる。

完