2019年5月1日水曜日

中核信念 1


      はじめに

 この論文は次作「幸福論」の草稿です。次作が完成するまであと7年くらいはかかりそうなのでそれまで待てないという読者の方ために次作「幸福論」の現時点での骨格だけでもお知らせしようという意図で書いたものです。そのためあまり文章の完成度は高くありませんが、そこのところはなにとぞご容赦ください。また経済学に興味のある方は、5chの経済学版、または文学版の「日本文明の精華、見てみませんか」の20184月下旬頃からのスレを見ていただくと暇つぶしにはなると思います。
 https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/book/1439882699/

 最後にまだ我が主著「共同生活」をお読みでない方はこの機会に購入してくださると必ずやご幸運が訪れると思います(笑)。

     20195月1日            橘 謙信

 

 

    中核信念

     または精神的強さ及び精神的健全さについて

 

 世間に流されず、自分自身に納得のいく人生を送るためには幸運及び精神的強さまたは精神的健全さを持って生きていくことがどうしても必要になる。また幸運を受け止めるためには人生に対して前向きであることがどうしても必要であり、人生に前向きであるためには精神的強さまたは精神的健全さが必要である。

つまり我々が生きていく上でまず求めなければいけないものは我々自身の精神的強さまたは精神的健全さだといえる。そのためには冷水摩擦や十分な睡眠及び適度な運動、バランスの良い食事を取り、日々ストレス解消することにより間接的に精神的健康を保つことが大切なのは言うまでもない。また論語や聖書などを読むことにより、良心を、自らの大慈悲を意識化、知性化させることにより精神的強さ、健全さを強化させることも重要である。

が、しかしそれだけでは運命の激流に対して十分な装甲を持ち得たとはいえない。この世界を生きて抜いていくには実に様々な困難が次々と立ちはだかってくる。飢えや病気に苦しむ時もあろうし、職場で真正面から人格を否定してくる上司に出会うこともあろう。卑劣で下賤な魂をもった女から愛情を受けて気分が悪くなることもあろうし、信じていた親友の裏切りに会うこともあろう。

瞬間的に他人からぶつけられる暴言や侮辱に対しては怒りや憎悪といった感情を持って対抗することで十分であるし、人を大事にする人は、人から大事にされる人である、と一般的に広く言われているように、他人をきちんと尊重できる人は、他人からきちんと尊重され、無駄な敵をつくらずストレスにさらされにくい。だが、継続的な精神的攻撃、または貧困や病気など運命のもたらす逆境に対して自分を見失わず、断固として戦い抜くためには正しい中核信念を心の中に核として作り確固として持っておくことがどうしても必要になる。

 中核信念とは何かというと自分の過去の行動の記憶に基づき信じている自己評価や世界観、未来への思い込みである。人は思考する時二種類のシステムを使っていると最新の脳科学では言われている。一つはオーソドックスに感情と思考を使って考える方法、もう一つは感情を使わずあらかじめ心の中に形成されている記憶に基づいた価値判断、中核信念と思考を使って考える方法である。感情と思考を使って考えることが本来の思考なのだが、それをするといちいち個々の場面で行動を決定しようとするのに時間がかかってしまう。それを避け瞬間的に判断して行動していくために中核信念と思考を使って考えることを人は人生の中で多用する。

 中核信念、無意識下で形成された価値基準を使って考えることの最大の問題はその中核信念、価値基準がそもそも誤っている可能性が非常に高いということにある。そのためある程度年を取ったら本屋で認知行動療法の本を一冊買い、自分自身で意識的に自分がどんな中核信念を持っているのか、そしてそれは妥当なのか間違っているのか、ということを立ち止まって考えるのがベストなのだが、分別がつく歳まで間違い続けて生きながら待っていることができないという読者のために私が人間はだいたいどのような自己評価の中核信念を持っているのかということについて教えておきたいと思う。

 我が主著「共同生活」でも述べているとおり、我々の無意識下には大慈悲と死に対する恐怖という二つの本源感情がある。我々はその二つの本源感情の上に他者を尊重しようという意志と生きんとする意志という二つの本源意志を持っている。だが我々は私という思念が一つなのも、当然の如く知っている。

 そのことから我々の思考から生み出される中核信念は一見すると一つに見えるが分析すれば大慈悲に基づいた自己評価と生きんとする意志に基づいた自己評価の二つに分けることができることが分かる。

                明日に続く








 

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