2019年5月20日月曜日

統合失調症完全克服マニュアル 8


柔弱という中核信念を身につけることによりはじめて自分の弱さを許せるようになり、強さへの憧れ、執着、つまり心を意志化しようとする本能を捨てることができるのである。心が意志化する直接の最大の原因は精神的に強くあろう、もっと強くなろう、とすることである。柔弱という中核信念を持つことによりその原因を取り除くのである。

柔弱になるためには具体的にどうすればいいかというと、まず「私は強いが無敵だというわけではない」という当たり前の認識を深く確信することである。そう確信できたらあとは徐々に自分の弱さを受け入れられるようになってくる。そして自らの弱さを認めることにより心に余裕ができ、謙虚になり、他人にやさしくなれる。それが急性期に身につけた捨て身という態度が軽みという態度に変え、人並みに幸福になろうという執着を強引に捨てた過去さえ忘れ、無邪気に天真爛漫に生きることができるようにさせてくれるようになる。統合失調症を経験した人だけが味わうことのできる生の喜びである「余裕感の中で憩う」という喜びをゆっくりと思う存分楽しむことにより心がさらにリラックスして、自然治癒力がさらに加速度的に高まっていく。

柔弱という中核信念を身につけて数ヶ月経つと体のどこかに原因不明の痛みが一時的にでることがあるかもしれない。病院に行って検査した結果、それがただの心身症と判断されたら、その心身症こそが医学書における統合失調症が健康体となる時にその境に壁のように存在するという心身症だったのであり、その心身症が治るとともに統合失調症は基本的に治ったのだと思って良いであろう。(ここで抗精神薬を完全に止めてしまうか、最低量を飲みながら余生を送るかは、それぞれの個人が決めるべきことだが、私としては中井久夫先生と同じように抗精神薬を最低量飲みながら生きていくほうがエレガントに生きられるし、ベターな生き方であると思う)

 エレガントに生きるとは余裕を持って優雅に人生を生きるということである。抗精神薬を飲みながらエレガントに生きるデメリットとしてはエネルギッシュに一生懸命、全力で生きるというような生き方ができないことである。ちなみにエネルギッシュに一生懸命、全力で生きようとすると退院後10年以上経っても再発する可能性はそれなりに高くなる。

 

最後に統合失調症と高齢者の認知症の関連性について書く。高齢の重度認知症患者の強い妄想にかられるところ、認知症患者の緊張した面持ち、自制できない怒りに任せた暴言などは統合失調症患者の急性期の症状と酷似している。実際臨床でも認知症患者は統合失調症患者と同じ抗精神薬を飲まさせられる。(その結果高齢の認知症患者が抗精神薬の強い副作用に耐えられず毎年大勢死んでいくことの是非はここでは論じない)

統合失調症が強いストレスから発症するように、認知症は精神的に悪い緊張状態が長く続きすぎたため発症するものと思われる。精神的に悪い緊張状態とはどういうものかというと、人間には交感神経と副交感神経があり、交感神経が緊張を司り、副交感神経がリラックスを司っているが、高齢になり仕事を引退して昼間健全なはりのある、つまり意識的に緊張感のある生活ができないため、夜になっても副交感神経優位に切り替わらず、よって安らかなリラックスした気分になれないで、昼間と同様に緊張して生活し、睡眠も高齢者につきものの不眠症でうまく取れず、翌朝になっても気分がリフレッシュせず、気分がリフレッシュしないから、またはりのない生活をしてしまい、という風に延々と低いけれど絶えず緊張感があって、息抜きのない生活を送ることにより人は認知症を発症するものだと私は思っている。

人はリラックスしている時よりも緊張しているときのほうが物事を記憶することが難しくなるし、他人に親愛の情を持つことが難しくなる。イライラしている時ほど他人に敵意を抱いて接するし、自己正当化して被害者意識に凝り固まる。また緊張しているとき、何かに恐怖している時ほど、自分の中に生き抜くための強さを確認しようとして、人は頑固になる。つまりうまくリラックスできず絶えず緊張していても人の心は意志化するのである。

重度認知症は統合失調症とちがい回復した報告例がない。ただ予防方法としては統合失調症の回復方法がおそらくは使えるであろう。

  1. 捨て身であること。(捨て身であることによって死ぬことを過剰に恐れなくなる)
  2. 日々老いて弱くなっていく自分をあきらめること。(このことによって絶望感を克服できる)
  3. 柔弱になること。(柔弱になることによって自分の弱さを自覚し、弱さを他人へのやさしさ、愛に変え、そのやさしさ、愛が即時的にもたらすゆとり、安らかさを感じて生きる喜びを感じられるようになる)

おそらくこのような態度、認知をもって生きる高齢者が増えれば認知症は劇的に減らせられるものと思われる。

 

以上を持って統合失調症完全克服マニュアルを終りとする。

 

参考文献 「統合失調症をたどる」「統合失調症をほどく」「統合失調症は癒える」「統合失調症と暮らす」監修中井久夫

補足 2024年9月13日

統合失調症の認知機能障害の克服方法についての私見

 

毎日自転車やバイクに乗ったりして動いていく風景を体全体で感じると統合失調症の認知障害の回復にかなりつながると私自身は思っている。リラックスしながら脳に新鮮は刺激を与えて、脳に情報処理をさせることがいいのだと思う。(自転車よりバイクに乗っている方がより情報処理量が多くなるので認知機能の回復につながりやすい。自動車は動いている風景を体全体では感じないのであまり認知機能障害の回復につながらない気が私はする。)

また夜寝る前に自律訓練法をユーチューブで聞いたりしてから眠るといい睡眠が取れ、朝起きた時リフレッシュした気持ちになりやすい。つまりできるだけいい睡眠を取ろうとすることが認知機能障害の回復につながるということ。(耳栓やアイマスクをするのもいい睡眠を取るのに効果的。)

あと朝散歩する時、公園の自動販売機で冷水を買ってその水で口をゆすいだり、飲んで水の清らかさを朝日を浴びながら感じたりするとすっきりした気分になり、認知機能障害の回復につながる。野菜やリンゴを食べたりして、なんかさわやかな清涼感を一日一回でも感じるのもいい。つまり意識的に何らかの行動をして一日一回は清らかな感情を感じることが認知機能障害の回復につながると私は思っている。


 

 

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