2019年5月19日日曜日

統合失調症完全克服マニュアル 7


 回復期後期における統合失調症の克服

 

退院から2.3年経って回復期前期が終わったあと、7.8年くらいを回復期後期という。統合失調症は一度も再発しなければだいたい全治10年の病気であると言われているので、回復期後期が何事もなく終わると基本的に統合失調症は治ったものとされる。回復期後期は基本的に認知機能障害を治す期間であるが、退院から34年後の回復期後期の前半で認知機能障害がほぼ治る人もいるがそれが一概にいいとはいえない。なぜなら回復期後期前半ではまだ精神が不安定であるため、認知機能障害が治り世の中がはっきり見えてくるとその分より一層精神が不安定になりやすく、よって再発する可能性が高まるからである。できる限り早く治りたいと願うのは自然な感情ではあるが、回復期後期においてはできる限りゆっくりと確実に一歩一歩治していこうとするのが病に対する最善の態度であると言われている。

この期間は何事にも「あせらず、がんばりすぎず、無理をせず」という統合失調症患者の標語を忘れず、心が再び意志化しないように細心の注意を払いながら過ごすことが重要である。具体的に特に何に注意すればいいかというと一日の睡眠時間である。睡眠時間が明らかに日に一時間以上短くなってきているのなら、睡眠薬を増量するか、ともかくベッドで横になっている時間を増やし睡眠の質を下げてでも睡眠の絶対量を多くすることによってかなりの確率で再発を予防できる。

回復期後期が始まったらまず何をすべきかというと、抗精神薬の副作用止めとして出されていたアキネトンやグラマリールなどの周辺薬の減薬、断薬を1.2年かけてすることである。副作用止めの薬を減薬、断薬していくだけでも認知機能障害が目に見えて改善されていくことが自覚できるであろう。認知機能がある程度回復してきたらクローズで週20時間くらいのバイトを始めるとよいであろう。健常者と対等に働いていると健常者が無意識のうちにぐんぐんと自分の精神を健康な方向に引っ張り上げてくれ、その結果、自然治癒力を高まり、精神的に安定していき、やる気も湧いてきて、さらに認知機能も回復していく。

 クローズで働くとは障害者であることを完全にふせて一般枠で働くということである。

発症から7年ほど経ったらいよいよ睡眠薬の減薬、断薬に挑戦することになる。多くの患者は発症から7年後に飲んでいる睡眠薬はフルニトラゼパムでおそらく上限の2mgを飲んでいることだと思うが、それを0.25mgずつ減薬していき8ヶ月後に1mgまで減薬してそこから4ヶ月かけてベンザリン5mgに置き換えることを大体の減薬ペース目標とするといいであろう。減薬し始めて一年後、ベンザリンに置き換え終わった頃には認知機能障害がほぼ100%治っていることに気づくであろう。

睡眠薬を減らすと睡眠の質は高まっていくが睡眠時間が短くなっていくので、この期間は少しでも睡眠の量を取るために耳栓とアイマスクをして寝るようにしたほうがいいであろう。また睡眠薬減薬中は最低週4日は休日をとって、できるかぎりリラックスして休日を過ごし仕事による睡眠不足をその休日期間中に取り戻すようにしたほうが望ましい。また次の日が仕事などで夜寝る前に心身が緊張していたらユーチューブで「自律訓練法」と検索してでてきた自律訓練法の音源を聴いて体を少しでもリラックスさせてからベッドに横になるというルールも忘れてはいけない。
睡眠薬を少しでも減薬すると頭が回転し始め、時と共にどんどん回転数が上がっていくがその時すべての統合失調症患者が気をつけておかなければならないことは一度統合失調症を患った人には健常者とちがい頭の回転数を制御するブレーキ機能が壊れているので簡単に限界を突破し、その結果幻聴、妄想が起こり統合失調症が再発しやすいということである。再発を回避するためにはどうすればいいかというとある程度まで頭の回転数が上がってきたらそこからは意識的努力は決してせず(つまりアクセルを踏まず)できるかぎりリラックスして自分ができる最大仕事量の8割ほどしか仕事をしないというルールを厳守することである。これができるかできないかが最後の再発と完治の別れ道となるのである。

急性期においては捨て身になることが大切であり、回復期前期においては人生をある意味あきらめることによって絶望を克服することが大切であったように、回復期後期でも心の意志化をとくために是非とも必要なことはある。それはなにかというと柔弱という中核信念を身につけるということである。つまり人間として成熟して、自我の統合を意識的に果たすことが必要なのである。(詳しくは前述してある「中核信念」を読むことをお薦めする)

              明日に続く





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